第1回全国フォーラム
- 10:00- 特別講演 「“10 万人の命を救え“キャンペーンが実現したこと」資料
講師 W.A.コンウェイ医師(ヘンリーフォード病院診療部長兼質改善委員長)
司会 山本修三(日本病院団体協議会議長)
約58分 右音声:英語 左音声:日本語
特別講演 「米国“10万人の命を救え”キャンペーンが実現したこと」
医療は、劇的なほどより安全になれるものである。いまアメリカで、医療における事故死と傷害を減らす全米キャンペーンを通じて、そのことがまさに実証されつつある。 それは、4年前に始まった。米国医療改善研究所 (Institute of Healthcare Improvement: IHI) が、病院での事故死を10万人減らそうというキャンペーンを開始し、その後年間500万件の有害事象を減らす運動に発展した。これは“10万人の命を救え”キャンペーン、“500万人の命をまもる“キャンペーン(“100K/5Mキャンペーン”)と呼ばれる。この活動では、院内救命措置・褥瘡・院内感染・手術合併症・投薬事故防止等12項目の、エビデンスに基づくプロセスの改善が進められた。
全米で最も成功したと言われる病院の一つがヘンリー・フォード病院である。入院死亡率を25%減らし、院内感染を70%減らし、手術合併症を40%減らすことに成功したヘンリーフォード病院における4年間にわたる安全の取り組みの道のりを紹介する。それらの活動は同時に、患者満足度を大いに高め、コスト削減をもたらした。また、このような成功もたらすうえで地域社会の期待の変化や安全の文化が果たした役割についても紹介する。
講師紹介
ウィリアム・コンウェイ氏はヘンリーフォードヘルスシステムのSenior Vice President(副総長)にしてChief Quality Officer(質管理最高責任者)、ヘンリーフォード病院のChief Medical Officer(診療部長)兼Breech Chair for Health Care Quality Improvement(医療質改善委員長)である。コンウェイ氏は呼吸器と集中治療の専門医で、過去30年間、ヘンリーフォードの要職にあって様々なリーダーシップを発揮してきた。とくに最近の10年間は、“100K/5Mキャンペーン”や”Pursuing Perfection in Health Care” をはじめ質と安全を目指す多くの改革に取り組んでいる。
2006年にミシガン州病院協会による”Patient Safety and Quality Leadership Award”を受賞した。この賞は、自分の病院だけでなくより広い視野で患者の安全と質改善にリーダーシップを発揮した人を表彰するものである。Crain’s Detroit Business(ビジネスニュースサイト)は、コンウェイ氏の手術感染防止におけるリーダーシップを讃えて、彼を”Health Care Hero”(医療のヒーロー)に認定した。American Medical Group Association(アメリカグループ診療協会)の会長としてグループ診療の推進に尽力し、Group Practice Improvement Network(グループ診療改善ネットワーク)の創設に参画して初代会長を務めた。また、2003年からCouncil of Accountable Physician Practices(責任ある医師診療評議会)のワークグループ・メンバーも務める。