10の行動目標と推奨する対策
*2016年4月1日より支援ツールの閲覧は、医療安全全国共同行動「参加登録施設」 「会員」の皆さま限定となりました。ぜひとも「参加登録施設」「会員」への加入をお願い申し上げます。
・各行動目標ごとの活動に役立つツールを提供しています。
・各支援ツールの内容一覧はこちらからご覧いただけます。
各目標の「ハウツーガイド」の最新版は『医療安全 実践ハンドブック』をご参照ください
支援ツール一覧
目標 |
ハウツーガイド |
ツール |
各目標共通 |
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行動目標1:危険薬の誤投与防止 |
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行動目標2:周術期肺塞栓症の予防 |
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行動目標3:危険手技の安全な実施 |
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(a) 経鼻栄養チューブ |
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(b) 中心静脈カテーテル |
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行動目標4:医療関連感染症の防止 |
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行動目標5:医療機器の安全な操作と管理 |
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(a) 輸液ポンプ・シリンジポンプ |
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(b) 人工呼吸器 |
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行動目標6:急変時の迅速対応 |
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行動目標7:事例要因分析から改善へ |
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行動目標8:患者・市民の医療参加 |
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行動目標S:安全な手術-WHO指針の実践 |
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行動目標W:医療従事者を健康被害からまもる (1)抗がん剤曝露のない職場環境を実現する (2)感染症の拡散を防止する院内手順を遵守する |
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☆診療所の安全対策 |
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行動目標には、特定の有害事象を予防したり(①~⑤、S、W)、有害事象発生時に死亡に至ることを防ぐ(⑥)ことで直接的な死亡低減効果が期待できるものと、さまざまな有害事象を未然に防ぐ組織能力を高めることで間接的な死亡低減効果を期待できるもの(⑦~⑧)があります。参加登録施設は、キャンペーン期間中に取り組む行動目標を選んで当ホームページから登録します。
行動目標1:危険薬の誤投与防止
【目標】危険薬の誤投与に起因する死亡を防止する。
【推奨する対策】
1. 危険薬の啓発と危険薬リストの作成・周知
2. 高濃度カリウム塩注射剤、高張塩化ナトリウム注射剤の病棟保管の廃止
3. 入院時持参薬の安全管理
4. 抗がん剤治療プロトコールの院内登録制度
5. 「危険薬の誤投与防止ベストプラクティス16(NDP)」の実施 (チャレンジ)
行動目標2:周術期肺塞栓症の予防
【目標】 周術期肺塞栓症による死亡を防ぐ
【推奨する対策】
1. 適正予防策選択のための総合的評価の実施
2. 予防策の確実な実施と安全管理
3. 肺塞栓予防の重要性に関する職員教育の徹底
4. 患者への説明と患者参加の促進
5. ハイリスク患者へのスクリーニング検査の実施 (チャレンジ)
6. 肺塞栓症の早期診断・治療マニュアルの作成 (チャレンジ)
7. 予防的抗凝固療法の安全管理 (チャレンジ)
行動目標3:危険手技の安全な実施
(a) 経鼻栄養チューブ挿入時の位置確認の徹底
【目標】 経鼻栄養チューブの挿入留置手技に伴う有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
【推奨する対策】
1.経鼻栄養チューブの挿入と位置確認のためのマニュアルの策定及び順守
2. 空気聴診法を位置確認の確定判断基準にしない
3. 初回挿入留置時はX線撮影で位置確認を行う
4. pH測定による補強確認を励行する(チャレンジ)
(b) 中心静脈カテーテル穿刺挿入手技に関する安全指針の順守
【目標】 中心静脈カテーテルの穿刺挿入手技に伴う有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
【推奨する対策】
1. TPNとCVC留置適応の厳格化
2. 安全な穿刺手技等の標準化
3. 安全手技の教育体制の構築 (チャレンジ)
行動目標4:医療関連感染症の防止
【目標】 医療行為が関わる感染症死亡を防ぐ
【推奨する対策】
1. 手指衛生の徹底
2. 標準予防策・接触感染予防策の強化
3. 環境と器具の清浄化
* WHO "Clean Hands" Campaign
行動目標5:医療機器の安全な操作と管理
(a) 輸液ポンプ・シリンジポンプの安全管理
【目標】 輸液ポンプ・シリンジポンプが関わる有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
【推奨する対策】
1.輸液ポンプ・シリンジポンプの保守点検の確実な実施
2.操作者マニュアルの作成と教育の徹底
3.操作者用チェックリストの作成と適正な運用
4. 機種の統一 (チャレンジ)
5. 院内認定制度の確立(チャレンジ)
(b) 人工呼吸器の安全管理
【目標】 人工呼吸器が関わる有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
【推奨する対策】
1.人工呼吸器の保守点検(日常・定期点検)の確実な実施
2.人工呼吸器動作確認チェック表の作成と運用
3.生体情報モニタを必ず装着する
4. 警報対応態勢の確立 (チャレンジ)
5. 人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防(チャレンジ)
行動目標6:急変時の迅速対応
【目標】 医療行為に伴う院内急変事例の死亡を防ぐ
【推奨する対策】
1. 有害事象に対する緊急対応手技の浸透
2. 心肺蘇生法の職員教育の徹底
3. 院内救急計画の策定と体制づくり
4. 容態変化への早期対応態勢(RRS)の確立 (チャレンジ)
行動目標7:事例要因分析から改善へ
【目標】 有害事象や死亡事例の要因分析に基づくシステムの改善
【推奨する対策】
1. 事例要因分析の手法の周知と職場での実施
2. 事例要因分析で明らかになった課題に関する改善活動の実施
3. M&Mカンファレンス(Morbidity & Mortality Conference)のプログラム化 (チャレンジ)
行動目標8:患者・市民の医療参加
【目標】 患者・市民と医療者のパートナーシップを通じてケアの質・安全と相互信頼を向上させる
【活動】
1. 患者さんや地域の市民が参加・参画して医療の質・安全を向上させる活動を新規に実施する。
2. 活動の成功体験や教訓を共同行動HPから紹介する。
・支援ツールを用意している参考モデル
(a)「安全は名まえから」(患者と医療者の協同によるフルネーム確認)
(b)「からだと病気を知るために」(院内患者図書室の設立)
(c)「転ばぬ先に」(患者参加の転倒転落防止)
(d)「3つのポンプを働かせよう」(仮)(患者参加による周術期肺塞栓症の予防)
(e)「1冊にまとめて安心お薬手帳」(お薬手帳による処方と与薬の安全管理)
・その他どのような活動でも結構です。参加病院からご提案いただくことで、さまざまな活動が広がることを期待しています。
行動目標S:安全な手術-WHO指針の実践
(1) 正しい患者の正しい部位を手術する
(2) チームは、患者を疼痛から守りながら、麻酔薬の投与による有害事象を防ぐことが分かっている方法を用いる
(3) 命にかかわる気道確保困難もしくは呼吸機能喪失を認識し適切に準備する
(4) 大量出血のリスクを認識し適切に準備する
(5) 患者が重大なリスクを持っていると分かっているアレルギーあるいは薬剤副作用を誘発することを避ける
(6) 手術部位感染のリスクを最小にすることが分かっている方法を一貫して用いる
(7) 手術創内に器具やガーゼ(スポンジ)の不注意な遺残を防ぐ
(8) 全ての手術標本を確保し、きちんと確認する
(9) 効果的にコミュニケーションを行い、手術の安全な実施のために極めて重要な情報をやりとりする
(10) 病院と公衆衛生システムは、手術許容量、手術件数と転帰の日常的サーベイランスを確立する
行動目標W:医療従事者を健康被害からまもる
(1)抗がん剤曝露のない職場環境を実現する
【推奨する対策】
1.調製時の吸入曝露防止のために、室外排気型の安全キャビネットを設置する
2.取り扱い時の曝露防止のために、閉鎖式接続器具を活用する
3.取り扱い時におけるガウンテクニック(PPE: 呼吸用保護具、保護衣、保護キャップ、保護メガネ、保護手袋の着用)を徹底する
4.取り扱いに係る作業手順(調剤、投与、廃棄等におけるばく曝露防止策を考慮した具体的な作業方法)を策定し、関係者へ周知徹底する
5.取り扱い時の吸入曝露、針刺し、経皮曝露した際の対処方法を策定し、関係者へ周知徹底する
(2)感染症の拡散を防止する院内手順を遵守する
【推奨する対策】
1.針刺し切創事故を防止する
2.ワクチン接種および抗体価の把握
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16/04/05