2009年9月26日長野県茅野市の諏訪中央病院において応援コンサートが実施されました。
出演はシンガーソングライターの川江美奈子さん。ピアノの弾き語りでおよそ1時間以上にわたる熱唱に、メインホールは患者さん、一般市民の方や医療者のあつい拍手につつまれました。
川江さんはこれまでに中島美嘉、今井美樹、一青窈、平原綾香、郷ひろみ、新垣結衣、森山良子など、実力派アーティストに数々の曲を提供していることでも有名で、今回は「共同行動を応援するために自分にできることは何かを考え」東京から駆けつけてくださいました。「多くの方に病院の医療安全の取り組みについても知ってもらいたい」というメッセージは、翌朝の新聞にも紹介されました。
川江美奈子http://www.minakokawae.com/
《病院スタッフによるレポート》
組合立諏訪中央病院 医療安全管理部 専任セーフティマネジャー 名取通夫
医療安全全国共同行動“いのちをまもるパートナーズ”医療安全全国フォーラムが5月30日に東京で開催されました。午後の全体セッションでは、医療者への応援メッセージと音楽の贈り物と題して、ジュスカ・グランペールによる生演奏が披露されました。ギターとバイオリンによるアンサンブルで、鳥肌が立つほど感動したのを覚えています。フォーラムの事務局から、医療安全全国共同行動をバックアップするために、ホスピタルコンサートを開催していただけるとアナウンスがありました。この感動をなんとか患者さんや病院職員とも共有できないかと考えて、会場で販売されたCDを購入し帰路につきました。
偶然今年は、秋に第1回病院祭開催が決定したばかりでした。そこで病院祭の企画のひとつとして、ホスピタルコンサートを開催することになりました。しかし、お招きしたかったジュスカ・グランペールは、残念ですが病院祭開催日とスケジュールが合いませんでした。そこで事務局からは、同じ志を持った川江美奈子さんを紹介してくださいました。川江さんは中島美嘉さんや一青窈さん、今井美樹さん、郷ひろみさんなど多くのアーティストに楽曲を提供されているシンガーソングライターです。とくに中島美嘉さんの「桜色舞うころ」は春には何度も耳にした馴染みのある曲です。素敵な方と巡り会えて良かったと思いました。
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ホスピタルコンサートは、入院患者さんが昼食を終えた13時から開演しました。会場には車イスの患者さんがボランティアの職員と一緒に集まっていました。また歩ける患者さんや職員に付き添われた患者さんをはじめ、病院祭を楽しみに来た地域の方々、なかには裏情報で兵庫県や東京など遠方から、川江さんのコンサートを聴きに来た方もいらっしゃいました。
当日は200名ほどの観衆に囲まれてコンサートが始まりました。好天にも恵まれましたが、川江さんのピアノとボーカルには、会場内の空気がホンワカした、なんともいえないあたたかな雰囲気に包まれた感じがしました。
「がんの末期の患者さんも車イスで20分程度、聴かれていた」、「子どもさんもちゃんとイスに座って最後まで聴いていることができた」と職員が話してくれました。また病院内でバンドをやっているスタッフからも、「川江さんの音楽には共感できたし、感動した」と話されていました。
患者さんのみならず、病院の利用者や職員も川江さんの歌とピアノとお話にたいへん癒されました。本当にご縁があり良かったと思っています。
とても良い一日でした。そして思い出に残る一日でした。
[病院スタッフからの一言]
私はリハビリ病棟の患者さんを川江さんのコンサートへ車椅子でエスコートさせていただきました。川江さんのコンサートが終わった後、その患者さんが「川江さんのCDをいただきたいんですが、お金を持って来ていなくて」と私に囁いてくれました。私はとても嬉しい気持ちになりました。さらに、「CD全部いただきたいんですが、いくらになります?」と私に聴いてくれました。私はお金なんていい、プレゼントしたい気持ちになりました。その患者さんは眼が不自由な方でした。眼の不自由な方は聴覚が敏感になるといわれます。川江さんの歌声は私たちにはもちろんですが、その患者さんにとっては尚更心に響き、心を揺さぶったことだろうと思います。一緒に川江さんとの時間を過ごすことができたことを心から感謝しています。ありがとうございました。今頃、きっと病棟で川江さんの歌声を耳にリハビリに一層励んでおられることと思います。
私が川江さんの歌声、そしてお話の中で印象に残った言葉を挙げたいと思います。それは、病院というところは、「こころが裸になる」場所だということです。私はまだ医師となって間もないですが、私たちもこころを裸にして患者さんと一緒になって寄り添っていく姿勢を大切にしていきたいと改めて感じました。そして挫けそうなとき、苦しいときには川江さんの“春待月夜”を思い出してこれからの医師としての人生を歩んでいきたいと思います。
(初期研修医)
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今回、音楽の贈り物として医療安全全国共同行動のタイアップで、ホスピタルコンサートが開催できたことは、病院職員だけでなく患者さんをはじめ多くの方にとって意義のあることだったと確信しています。素晴らしい贈り物をありがとうございました。医療安全全国共同行動が2年間と言わず、日本の病院で“いのちをまもるパートナーズ”として、今後も末永く継続されていきますことを期待しています。
10/01/08