行動目標1 危険薬の誤投与防止
医療安全関連のインシデントで最も件数の多いものが薬剤に関連した事例です。薬品名の類似や用法・用量(単位)の間違いに起因する誤投薬をはじめ、副作用情報の伝達ミスなど、枚挙にいとまがありません。カリウム製剤などの危険薬の管理にまつわる事故事例も後を絶たず、さらなる粘り強い啓発活動が必要です。診療支援システムや電子カルテの導入により、医師の悪筆が問題となることは少なくなりましたが、忙しい現場では、貴重な薬品情報が参照されないまま新薬が次々と処方され、慧眼の薬剤師による「疑義照会」で、間一髪、事故を未然に防ぎえたという事例は少なくありません。個人の能力や努力に過度に依存しない標準化と院内システムの普及が望まれます。
[目標] 危険薬の誤投与に起因する死亡を防止する
[推奨する対策]
1.危険薬の啓発と危険薬リストの作成・周知
2.高濃度カリウム塩注射剤、高張塩化ナトリウ ム注射剤の病棟保管の廃止
3.入院時持参薬の安全管理
4.抗がん剤治療プロトコールの 院内登録制度
5.「危険薬の誤投与防止ベストプラクティス16(NDP)」の実施(チャレンジ)
〈危険薬の誤投与防止ベストプラクティス16(NDP)〉
対策1 危険薬の啓発と危険薬リストの作成・周知[推奨対策]
対策2 高濃度カリウム塩注射剤、高張塩化ナトリウム注射剤の病棟保管の廃止[推奨対策]
対策3 採用薬品の見直し(同成分複数規格の制限と紛らわしい製品の排除)
対策4 類似薬の警告と区分保管
対策5 救急カートの整備
対策6 注射指示の標準化
対策7 インスリン・スライディング・スケールの標準化
対策8 散剤および水剤の処方データ連携調剤鑑査システムの導入
対策9 払出しと与薬のユニット・ドース化
対策10 投薬に関する患者取り違え防止策の徹底
対策11 輸液ポンプ、シリンジポンプの操作・運用・管理方法の標準化と教育
対策12 入院時持参薬の安全管理[推奨対策]
対策13 アレルギーおよび禁忌情報の明示と確認方法の標準化
対策14 経口用液剤の計量シリンジの使用方法の標準化と周知
対策15 がん化学療法レジメンの院内登録制度[推奨対策]
対策16 薬剤部での注射剤ミキシング