行動目標3 危険手技の安全な実施
医療は、現代の高度技術の一つとして人類社会に大きな恩恵をもたらしていますが、その際立った特徴は、最終的に、針やチューブ、カテーテル、メスなどのかたちをとって、直接、一人ひとりの身体に“侵襲”を加えざるをえないことと、その成否が、それを実施する医療職のワザ(手技)に依存しているところにあります。現時点では、胃管挿入(行動目標3a)と中心静脈穿刺(行動目標3b)を取り上げていますが、適応病態や技術の進歩により、取り上げるべき課題そのものについて、将来、検討が必要になるかもしれません。
(a)経鼻栄養チューブ挿入時の位置確認の徹底
[目標] 経鼻栄養チューブの挿入留置手技に伴う有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
[推奨する対策]
1.経鼻栄養チューブの挿入と位置確認のためのマニュアルの策定及び遵守
2.空気聴診法を位置確認の確定判断基準にしない
3.初回挿入留置時はX線撮影で位置確認を行う
4.pH測定による補強確認を励行する(チャレンジ)
(b)中心静脈カテーテル穿刺挿入手技に関する安全指針の遵守
[目標] 中心静脈カテーテルの穿刺挿入手技に伴う有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
[推奨する対策]
1.TPNとCVC留置適応の厳格化
2.安全な穿刺手技等の標準化
3.安全手技の教育体制の構築(チャレンジ)