患者安全国際共同行動
WHO手指衛生記念日によせて(WHOの院内感染防止の取り組み)
新潟県立六日町病院 麻酔科 市川高夫
WHOは2002年の世界保健総会(WHA)で、患者安全国際共同行動の最初の取り組みとして院内感染防止に焦点を当てることを決議しました。2007年から5月5日(以下5May)を手指衛生普及のための記念日として、毎年その普及のための取り組みのキャンペーンを行い、ツール類の活用と、決意表明としてのWHOへの登録を呼びかけてきました。
今年はWHOが2012年に発行した「抗菌薬耐性拡大の脅威」(日本語訳 http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/44812/3/9789241503181_jpn.pdf )に応じて抗菌薬の適正使用を訴えながら、現実にたとえ医療施設内に耐性菌(それ以外の病原体も含め)が存在しても、WHO手指衛生の概念を理解し実践すれば、患者に耐性菌を伝播させることも、環境に広げることも、ずっと少なくなると訴えています。さらに実際の耐性菌の検出状況と、すでに標準化している手術時抗菌薬予防の実施状況の調査への参加を求めています。調査対象になっている耐性菌は5種類(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌 (VRE)、広域スペクトラムβラクタマーゼ(ESBL)産生グラム陰性菌、カルバペネム耐性腸内細菌 (CRE)、多剤耐性アシネトバクター属 (MRAB))です。
昨年末時点の日本での決意表明施設は24施設、今年4月1日の段階では37施設です。米国、フランスなどは4桁で、ドイツ700、フィリピン2024、タイ395、イラン510などと比較して日本はまだ少数です。登録した病院には前述の世界的調査の依頼が送られているはずで、これがまとまれば、ある程度の耐性菌と手術時抗菌薬投与の世界的動向が発表される予定です。日本の状況を世界の中で比較するためにも、日本の大規模病院の参加登録が期待されます。
耐性菌の再興と選択を抑えながら、存在する耐性菌・病原体を患者に伝播させないWHOの患者安全のコンセプトを日本全体で理解し、実践することをWHOは期待しています。来年の5Mayには新たな調査や挑戦の提言がなされると思われます。そのためにも、多くの病院が登録してそれに備える必要があります。
*WHOへの登録方法
http://www.muikamachi-hp.muika.niigata.jp/academic/RegistforWHO.pdf
WHO患者安全の第1(院内感染防止)および第2(手術安全)に関する日本語資料は
医療安全全国共同行動および新潟県立六日町病院のHPから無料で利用できます。
*医療安全全国共同行動HP:目標4、目標Sの支援ツール
「9つの行動目標と推奨対策」に掲載されています。
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*新潟県六日町病院HPの関連資料掲載ページ:
http://www.muikamachi-hp.muika.niigata.jp/acad_cdc.html