行動目標5 医療機器の安全な操作と管理
医療機器の取り扱いは、本来、工学的な修練を積んでいない医療職にとって不慣れな領域であるといえます。また、医療機器の設計においても、その初期には、多忙で多くの作業が錯綜する医療現場の実情にそぐわないところが少なくありませんでした。最近では、ヒューマンインターフェースを重視した設計思想が浸透しつつありますが、比較的単純な機器も含め、機械類の取り扱いは、やはり医療現場でエラーの生じやすい場面の一つです。医療安全全国共同行動では、輸液・シリンジポンプ(行動目標5a)と人工呼吸器(行動目標5b)を取り上げ、安全な医療機器の取り扱いについて啓発してきました。
(a)輸液ポンプ・シリンジポンプの安全管理
[目標]輸液ポンプ・シリンジポンプが関わる有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
[推奨する対策]
1.輸液ポンプ・シリンジポンプの保守点検の確実な実施
2.操作者マニュアルの作成と教育の徹底
3.操作者用チェックリストの作成と適正な運用
4.機種の統一(チャレンジ)
5.院内認定制度の確立(チャレンジ)
(b)人工呼吸器の安全管理
[目標]人工呼吸器が関わる有害事象とこれに起因する死亡を防ぐ
[推奨する対策]
1.人工呼吸器の保守点検(日常・定期点検)の確実な実施
2.人工呼吸器動作確認チェック表の作成と運用
3.生体情報モニタを必ず装着する
4.警報対応態勢の確立(チャレンジ)
5.人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防(チャレンジ)