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第1部 基調講演「医療安全とガバナンス」概要(医療安全全国フォーラム2017)

第1部 基調講演「医療安全とガバナンス」
____講師:上田 裕一(奈良県立病院機構 奈良県総合医療センター 総長)

【背景】
医療事故が大きな社会問題となって18年、再発防止の手順が示されているにもかかわらず、今なお類似の事故事例が繰り返し報告されています。この現状に、現場で真摯な努力を積み重ねてきた医療安全管理者はじめ医療安全に取り組む職員としては、安全な医療の前に立ちはだかる“壁”を感じざるを得ません。残念ながら、この“壁”の一つが病院トップの姿勢です。このことが問われた群馬大学附属病院の肝切除後死亡多発事例は記憶に新しいところですが、上田裕一先生は、その外部調査委員会の委員長をはじめ、数多くの医療事故調査委員会に関わってこられました。事例に即してことの本質を明らかにしていただく中で、これからの病院管理者に期待される役割と病院の“クリニカル・ガバナンス”向上のために職員ができることについて、力強い提言をいただきたいと考えています。

【講演要旨】
「病院長のガバナンスが重要だ」とよく言われるが、内部統制のことではなさそうである。では、これまでの医療安全活動とは何が違うのか、執行部や現場の医療従事者がすべきことは何か、“ガバナンス”では十分に伝わらないのではないか。英国ではブリストル王立病院事件*の後に、医療の質と安全を担保できる病院のシステムを構築するため、“クリニカル・ガバナンス”が提唱されて、今も活動を継続している。英国の取り組みの紹介と病院管理者の立場からの私見を述べさせていただく。(上田裕一)

*1995年までの約10年間に、ブリストル王立病院において小児心臓手術で過剰な死亡例が生じ、内部告発から社会問題へと発展した事例。執刀した2人の心臓外科医だけでなく、事実を放置していた病院管理者も責任を問われ、特別調査委員会の調査報告書(Learning from Bristol)に基づく勧告により、改善がもたらされた。
【講師略歴】
1976年 神戸大学卒業後、天理よろづ相談所病院でレジデントから心臓血管外科部長まで23年間勤務(1985年は英国国立心臓病院勤務)。1999年 名古屋大学心臓外科学教授(2011年末退任)。2012年から日本心臓血管外科学会理事長。2014年より奈良県立病院機構 奈良県総合医療センター 総長。
医療安全に関して:2002年 名古屋大学病院の医療事故調査委員会委員長、以後5年間、医療安全管理部長。2003〜12年 日本心臓血管外科学会 医療安全管理委員会委員長。現在までに院内外の18(群大病院を含む)の医療事故調査委員会に参画した。

 

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