2015年9月19日 医療事故調査制度に関する研修会(東京会場)
「医療事故調査制度」の道しるべとなる貴重な2講演
・当日プログラム
・木村壮介先生講演資料
・遠山信幸先生講演資料
9月19日に「医療事故調査制度に関する研修会」を慶応大学薬学部芝共立キャンパス 記念講堂で開催いたしました。 医療事故調査制度の開始を目前に、医療安全調査機構常務理事として制度の中心におられる木村壯介先生と、現場の第一線で医療安全をリードしてこられた自治医科大学附属さいたま医療センターの遠山信幸先生(医療安全管理室 室長)のお二人を講師に迎え、全国から約150名の方々が熱心に聴講されました。
はじめに、木村壯介先生から「医療事故調査制度の概要、医療事故調査・支援センターについて」と題して、この制度全体を俯瞰したご講演をいただきました。制度ができるまでの経緯や根幹となる考え方、医療事故の定義や判断、制度の仕組みと実際の流れ、支援体制、インフォームドコンセントの重要性が解説され、新事故調査制度に関する事柄をすべて網羅した実に充実した内容でした。最後に、事故の発生した当該医療機関における事故調査の役割を重視するこの制度が、医療を信頼するという基盤の上に作られていること、いわば医療が試されている制度であることを強調され、現場の医療者・病院管理者の自浄作用、支援団体としての医師会、基幹病院、地域の大学、学会、専門医の連携、そして医療を受ける側の理解及び社会からの支えなしには動かない制度であることを指摘して講演を締めくくられました。
続いて、遠山信幸先生から「院内事故調査の進め方について」と題して、医療機関での具体的手順例を解説していただきました。日頃からの備えに始まり、事故直後の対応から院内事故調査委員会の立ち上げと運営、報告書の作成に至るまで、一つ一つの局面で必要となる知識や心得についてきめ細かく説明していただきました。
講演後の質疑応答では、有害事象を事故として報告するか否かの判断、事故報告書が責任追及に流用される懸念などについて、施設の管理者から具体的な質問が出されました。医療従事者として患者遺族とのコミュニケーションを重視すべき立場にあることを前提に、法制面での課題や当事者・病院管理者としての実際的な対応のあり方も含め、両講師から丁寧に答えていただきました。
新しい医療事故調査制度の根幹から具体的対応面に至るまで、包括的に解説していただいたこの日の両講師のお話は、聴講された方々にとって、まさしく本制度の道しるべとなる内容であったと思います。