分科会B:行動目標5b「医療機器の安全な操作と管理―人工呼吸器の安全管理」
テーマ「医療ガストラブルミニハンズオン:人工呼吸患者にガスや電気が途絶する事態が起きたら、そのとき貴方はどうする?」
酸素や圧縮空気は必要不可欠な医療資材であり、一瞬たりとも途絶しないように管理することが、医療従事者に求められています。しかし、大震災時のように万が一にも医療ガスが途絶した場合に、どのような現象が認められ、どのように対処すべきなのかについては、私達はほとんど教育されていません。
そこで今回、私達はミニハンズオンという方式を用い、人工呼吸中に酸素・圧縮空気、電気が途絶した状況を会場内に実際に設定し、緊急時にどのような問題点が発生するのかを実際に見ていただきました。日常業務において軽視されている問題が幾つもあったというご意見も多く頂戴しました。同時に、その場でどのように対処すべきかについても、基本的な対応は実際に壇上に再現して好評を頂戴しました。
私達の示したミッションに対して、今回の参加者が知っていた割合(既知割合)と、知らなかった割合(未知割合)をアンケートで回答してもらいました(表1)。
表1:アンケート結果:既知割合・未知割合(mean±sd) |
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既知部分 | 未知部分 | ||
M1(停電) | : | 67±21% | 33±21% |
M2(停電・両Gas停止) | : | 64±23% | 36±23% |
M3(ガス停止診断対処) | : | 57±26% | 43±26% |
M4(ボンベの作法) | : | 58±26% | 42±26% |
表1の結果は、過去に開催したミニハンズオン参加者800名余(過去5回)の平均と比較して、今回は既知割合が高く、参加者のレベルが高かったことが判明しました。その要因として最も考えられるものは参加者の業種割合で、臨床工学技士(39%)と医療ガス関係業者(22%)で、両者が過半数を占めていました。それでも未知割合は1/3以上もあり、今後も本ミニハンズオンを継続する必要があると考えます。
われわれの講演に対する評価も、100点満点でご評価いただきましたところ、手前味噌ではありますが、全体で95±5点という高い評価を頂戴しました。ご参加いただきました皆様には心から厚く御礼を申し上げます。
最後に、アンケートで頂戴しましたご自由コメントをいくつかご紹介させていただき、技術支援部会5b代表からの報告とさせていただききます。
【自由コメント】
●机上での学習でなく、目の前で機器の状況を見ることができ現実感があり、強く記憶に残りました。ミニハンズオンという形式はとても学習効果が高いと思います。知らないことも多く、とても良い学びになりました。ありがとうございました。(Ns:20年以上)
●酸素ボンベのことは知らないことが多かったです。(CE:20年以上)
●大変勉強になりました。資料があるともっとよかったかも。(CE:10~15年)
●ピン型調整器の整備が必要と分りました。印象深い演出で楽しく学ぶことができました。皆様お疲れ様でした。(Ns:20年以上)
●多くの専門スタッフで行われており大変に勉強になった。スタッフも医療スタッフのみでなく、各メーカースタッフが担当していて良かった。皆さんの役者ぶりもよかった。事例を多く再現していて、良かった点、悪かった点を説明したのもよかった。尾崎先生の話もわかりやすく、たまに入るジョークの内容も面白かった。(CE:20年以上)
●ガスボンベ(酸素)の色は早期に改善して欲しい。医療ガストラブルに対応したシステム構築(新たな)が必要。(ヒューマンエラーにも対応できることが求められる。(企業:10~15年)
●「ボンベのお作法」はとても分りやすくてよかったです。今後の指導に活かしたいと思います。(CE:6~10年)
●大変に分りやすく、今後のプロモーションの参考になりました。ありがとうございました。(企業:20年以上)
●勉強になりました。楽しかったです。(医師:20年以上)
●実際に停電、医療ガス停止したのをみせて頂き、大変理解しやすかったです。(CE:16~20年)
●非常におもしろかったです。(CE:20年以上)
●何気なく取り扱っている酸素ボンベについて知ることができた。(Ns:16~20年)
●もっと啓蒙する必要があると考えます。(CE:16~20年)
技術支援部会 行動目標5b代表 尾﨑 孝平(神戸百年記念病院)