分科会D:行動目標7「事例要因分析から改善へ」開催報告

分科会D:行動目標7「事例要因分析から改善へ」
●テーマ「これなら短時間で手軽にできる! QuickSAFER分析手法の徹底理解」

「インシデント報告がたくさん集まっています。分析の重要性も分かっています。再発防止策を考えないといけません。でも、全部を分析する時間がありません!」といった病院の医療安全管理者、病棟の師長、各部署のリスクマネージャーの方々の声が聞かれます。

インシデント分析にはトレードオフがあります。深く詳しく分析しようとすると、時間と手間と労力がかかります。時間と手間と労力をかけずに手軽に分析を済ませようとすると、分析は表層的となり、原因や対策も場当たり的なものとなる傾向があります。

このトレードオフを少しでも解消するために開発されたImSAFER分析手法の簡易版であるQuickSAFERの講義と実習をしました。

ヒューマンエラーとは「ある人間の行動があり、その行動がある許容範囲から外れたもので偶然によるものを除いたもの」です。したがって、「ヒューマンエラーは原因ではなく結果である」ことを理解しなければなりません。つまり、エラーの分析には、まず結果的にエラーとなった行動を理解することが大切です。

ただし、人間の行動はとても複雑なので、そのままでは理解することが困難です。そこでそのメカニズムを簡単に理解するためにツールを使います。そのツールのことをモデルといいます。講義では、人間の行動を説明するために3つのモデルを使って説明しました。3つのモデルとは、(1)レヴィンの行動モデル、(2)コフカの心理的空間モデル、そして(3)意思決定の天秤モデルのことです。

QuickSAFERは、ヒューマンエラー発生のメカニズムをベースに、1つの行動に着目して分析します。インシデント報告をベースにその場で簡単に分析することを目的として考え出されたものです。

ヒューマンエラーは結果ですから結果となった行動を、時間軸で明らかにしなければなりません。しかし、時系列事象関連図を作成するには時間と労力が多くかかります。この部分を省略していますが、QuickSAFERは人間の行動を3つのモデルをベースに分析するため、本質的な部分、重要な部分はしっかりと押さえているので、「ヒューマンエラーは原因ではなく結果である」という本質的な部分が分析に取り入れられています。

講義では時間が限られているため、簡単な事例を使って、考え方と手順を紹介し、その後、仮想事例を使って分析してもらいました。

実習参加者は47名でした。医療関係でない人も参加されていましたが、問題なく実習をすることができました。

エラーの関係した事象を分析するためには、エラーをどのように考えるかという見方・考え方が重要です。分析者が「エラーは不注意や意識が低いために発生した」と考えていると、分析結果も、その考えに基づいたものとなってしまいます。

ヒューマンエラー事象の分析には、まず、エラーに対する正しい理解が必要です。

技術支援部会 行動目標7代表 河野 龍太郎(自治医科大学メディカルシミュレーションセンター)

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